ここからの記事はAngel Beats!エンジェルビーツ)13「Graduation」の後半レビューとなります。
こちらの記事に最初にこられた方は、まず前半レビューの『エンジェルビーツ13話(最終回)前編 直井とゆりと日向の「死んだ世界戦線 卒業式」』を先にご覧ください。
※この記事ではAngel Beats!エンジェルビーツ)という作品の核心部分が語られますので、1話から続けて見ていない方は是非全てを見てから読むことを推奨いたします。

果たして、立華かなでのこの世界にとどまっていた「心残り」とは!
音無結弦と立華かなでの関係とは!
そして、ラストにはどんな感動が待っているのか!
直井文人、仲村ゆり、そして日向ひできの三人がこの世界を去り、残ったのは2人。
音無「ええっと・・・、どうだった?卒業式。楽しかったか?」
かなで「うん、すごく。でも最後は寂しいのね」

そのままかなでの旅立ちかと思いきや、ちょっと外へ出ようと促す音無。
夕焼けの階段で音無はかなでに提案する。
音無「あのさぁ・・・かなで。ここに・・・・残らないか?」
かなで「え?」
今後もまた、ゆりや日向のような報われない人生のまま死を迎えた人が、この世界に迷い込む。
そんな人たちがまたここに居ついてしまわないよう、生きることの良さを伝えて卒業させてあげたいと語る音無。
エンジェルビーツ13話 音無結弦の告白
音無「だからさ、一緒に残らないか?かなでがいてくれたらさ、こんな世界でも、俺は寂しくないから。前にも言ったかもしれない、俺はお前と一緒にいたい、これから先も、居続けたい。だって俺は・・・かなでのことがこんなにも・・・好きだから」
かなでを抱き寄せ、再度自分の気持ちを告白する音無。
しかし、かなでは黙ったまま。
音無「どうして、何も言ってくれないんだ?」
かなで「言いたくない」
音無「どうして・・・」
かなで「今の想いを伝えてしまったら、私は、消えてしまうから」
音無「・・・どうして」
かなで「だって私は、『ありがとう』をあなたに言いに来たんだから・・・」
音無「どうゆう・・こと・・・だよ」
エンジェルビーツ13話 かなでと結弦の繋がり
かなで「私はあなたの心臓で、生きながらえることができた女の子なの
突然のかなでの告白に動揺し、声も出ない音無。
かなで「今の私の胸では、あなたの心臓が鼓動を打っている・・・。ただ一つのあたしの不幸は、あたしに青春をくれた恩人に『ありがとう』を言えなかったこと。それを言いたくて、それだけが心残りで、この世界に迷い込んだの」
音無「そんな・・・でもどうして俺だって分かった?」
かなで「最初の一刺しで気づけた。あなたには・・・心臓が無かった」
音無「でもそれだけじゃ!」
かなで「あなたが記憶を取り戻せたのは、あたしの胸の上で夢を見たから。自分の鼓動の音を聴き続けていたから・・・」
ここでようやくいろんな謎やスッキリしないところが解決です。

立華かなでは生前、心臓病だったから学校にも行けず、卒業式をやったことがなかったわけですね。
おそらく小さい頃から病院での生活だったのでしょう。
人としゃべることが極端に少ない環境だからこそ対人コミニュケーション能力の低さがあるのかも。

なぜ音無より後に死んだ立華かなでが、だいぶ先にこの世界にいたかに関しては、この世界は永遠なのでそもそも時間の概念がないってことなのでしょう。
なので、ひょっとしたらゆりや日向が死んだのは音無が死んだときよりも後なのかもしれませんね。
この時間軸のズレが生じる設定こそが、かなでの真実を隠すトリック的なものでもあるんですけどね^^;

そして、直井の催眠術でも思い出すことが出来なかった続きの記憶が、なぜ9話のあのタイミングで思い出せたのかも、そうゆうことだったんですね。
まぁこの際、「なんで心臓の鼓動だけで分かるんだ」的な細かいツッコミは無粋ってことでw。
慣れ親しんだ鼓動だからこそ、思い出せたのでしょうし^^;
この辺は順応性を高めてあるがままを受け止めます。
それが、アニメのマナー(ぁ

となると、1話での謎だと思っていたこと。
なぜ、オペレーショントルネードのとき、最初に音無の前に現れたのか
あの時は音無や藤巻が「戦線の弱点」とか「弱いところ狙われた」と言われてたので自然とそう思ってしまうわけですが、実はあの時のかなでは、音無と話をするために、つまりは『本当に心臓の提供者だったかを確認をするため』に、音無の前に現れたってことになりますね。
1話序盤で胸を貫いたとき、かなではこう思ったはず。

彼には心臓が無かった・・・、ということは心臓提供者の可能性が高い。彼が目覚めたら会って確かめてみよう・・・と。

そしてようやく音無を見つけたのがあのオペレーショントルネードで銃を持ってたとき。
普通に声をかけようと近づいたら・・・お腹に銃弾の一撃^^;
とにかく自衛のためにハンドソニック出したら逃げられてしまい、さらに彼の行く先に向かうとSSSメンバーの待ち伏せにあい、結局は音無と会話できぬままで終了。
エンジェルビーツ13話 1話のシーン
あの1話の終盤で食券が舞う中、音無が肩越しに振り向いた先にポツンと佇んでいたかなでの寂しい感じは、話す機会を逃してしまったというのも含まれているのかも。
13話を見た後だと、1話の裏ではこんな感じの「立華かなでの心情」が分かってくるわけです。

あそこで音無が撃たずに会話をしていれば、不器用な会話だろうとも天使と呼ばれる女の子は敵じゃないことが分かったはず。
音無よ・・・、無理からぬこととはいえ、お前の1話での勘違いと先走りで、SSSと天使の和解への道をとんでもなく遠回りするはめになったってことですね。

まぁ、かなでの不器用さもありますが、なかなか音無と2人になれる機会もなかったですしね〜。
直井に閉じ込められた当初はそうゆうのを確認する雰囲気じゃないですし、かなでは眠たかったっぽいので、起きてからでもいいと思ったのかな?w
でも音無から記憶が無いことをその時(扉をぶち破る直前)聞いたので確認できないと思ったのかも。

そんなこんなで9話で真の記憶が蘇り、かなでは音無が心臓の提供者であることを確信。
9話での会話を思い出してみます。
音無「(中略)俺、医者になりたかったんだ。誰かのためになりたい。ありがとうって言ってもらえるように生きたいって・・・そう思って、結構必死に勉強したんだけどなぁ・・・。でもさ、俺は最後に、この体をドナー登録で残せたんだ。俺の体は、誰かを助けてあげられたはずさ。そう信じる。」
エンジェルビーツ13話 9話の真実
かなで「きっとその誰かは、見知らぬあなたに『ありがとう』って一生思い続けるわね
9話でのこのセリフが、かなでの本心だったんですね。
ここに真実が隠れていたとは・・・思わなかった(´∀`;

そしてこの9話終盤から2人で他のSSSメンバーを卒業させようと協力することになり、真実を言うのはその後でいいと思ったのでしょうね。
だから今まで黙ってたんでしょう。

いやはや、伏線を回収できたときのこのスッキリ感はいいもんですねぇ(*´ω`)

長くなりましたが本編に戻ります。
エンジェルビーツ13話 立華かなでの望み
かなで「結弦・・・お願い。さっきの言葉・・・もう一度行言って」
真実を伝えられたからこそ、かなでは「あの言葉」を言える準備が整ったわけです。
本当に自分が思い残していることがなくなるわけです。
音無「そんな・・・イヤだ・・・。かなでが、消えてしまう」
かなで「結弦・・・お願い」
音無「そんなこと・・・できない!」
かなで「結弦!」


9話でも音無は言っていた、『ありがとうって言ってもらえるように生きたい』と。
でもそれは同時に好きになった人との別れを意味する。
生前に生きる意味を持てた『ありがとうって言ってもらえるように生きたい』という想い。
かなでへの想いを伝えれば、彼女は音無の人生の集大成ともいえる言葉を返してくれる。
そう想う一方で、最愛の人と・・・、しかも自分の生きた証・命を救えた証そのものである立華かなでと別れたくないという気持ち。
この2つの想いがせめぎ合う音無の苦悩。
かなで「あなたが信じてきたことを、私にも信じさせて。生きることは・・・素晴らしいんだって
この言葉が音無を後押ししました。
エンジェルビーツ13話 生きることは素晴らしい
かなで「結弦・・・
音無「かなで・・・愛してる・・・。ずっと一緒にいよう」
かなで「うん、ありがとう・・・
結弦」
音無「ずっと・・・ずっと一緒にいよう」
かなで「うん、ありがとう」
音無「愛してる・・・かなでっ」
かなで「うん、すごくありがとう」
音無「かなでぇ・・・」
エンジェルビーツ13話 愛してくれてありがとう
かなで「愛してくれて・・・ありがとう
音無「消えないでくれ・・・かなで・・・かなでぇ・・・」
かなで「命をくれて・・・ほんとうに・・・・・・ありがとう

エンジェルビーツ13話 立華かなでの旅立ち
「ありがとう」の言葉と共に旅立ったかなで。
感情を抑えきれない音無は夕日の空に向け、自分が愛した人の名前を叫ぶ。
音無「かなでぇぇぇぇぇ!」
その上空で、一点の光が天に昇っていくのでした。
エンジェルビーツ13話 真のエンディング
そのまま「一番の宝物」の歌に乗せて、立華かなでを加えた真の全員集合のエンディング。
一連のシーンは自分の中では鳥肌モノでした。
かなでの最後の「命をくれて、ほんとうに、ありがとう」という言葉は、彼女にとって特別な「究極の感謝の言葉」ですね。
学校の卒業式も出来ず、人並みの生活も送れず、青春時代まで生きれる望みのなかった自分に、まさに『自分の命と引き換えに青春時代までの命をくれた』音無結弦への最大限の想いを込めた「ありがとう」。
お金や人の力などではどうにもならない「時間」と「命」をくれた感謝の気持ち。

かなでがどれだけ音無に感謝していたのかは、ただ「ありがとう」を言いたいという心残りだけでこの世界に来たことからも分かると思います。
その想いの力は他の人と比較にならないほどでしょう。
それだけの想いを込めた「ありがとう」でした。


Angel Beats!エンジェルビーツ)の曲では「一番の宝物」が個人的にMVPな曲です。
AIRでの「青空」、クナラドでの「小さなてのひら」のような、ここぞ!というときのジーンとくる名曲ですね。
あらかじめ10話でメロディを把握できていたので、自然と耳に入る感じでした。
「青空」も「小さなてのひら」も、あらかじめ作中で歌なしのBGMとして何度か流れていて自然に聴き慣れてきたころ(まさに「ここぞ!」という名シーンのときw)に流れますからね〜。
音と映像のあるアニメだからこその演出です、最高です(ノ▽`)
嗚呼・・・・早く「Keep The Beats!」に収録されている「一番の宝物」をちゃんとフルで聴きたい('-'*
でもこれに収録されているのはユイVerって書いてあるけど・・・、Angel Beats!」オリジナルサウンドトラックでは別バージョンもあるのでしょうか。
よく聴くと13話の歌詞と10話の歌詞の一部、あとメロディも違います。
EDロールにも表記されてましたが、karutaさんバージョンってことでしょか。
しかも編曲が「ANANT-GARDE EYES」だ!w
Keyファンならお馴染みでしょうが、この作品のOPとEDの編曲をしている方ですし、クラナドのBGMである「同じ高みへ」を歌に昇華させた「時を刻む唄」も手がけている方です。
なので最終話のエンディングに相応しいメロディに仕上がってます。
となるとこれがサウンドトラックに収録されるのかも・・・。
まだ収録曲の詳細が分からないので、今後の情報に期待(゚∀゚人)

このエンディングで皆端から消えていきますが、最初はみんなで楽しくやっている感じと思っていると、最後に残る音無とかなでが互いを見つめ合っている構図になるんですね。
これも見事な構図です。

ちなみに上記のようにEDに入ってしまったので、この時点で音無が旅立ったのかは描かれていません。

ふと思ったのですが、12話での「謎の青年」が言っていた状況に似てますよね、この時点での音無。
『誰かのために生き、報われた人生を送った者が、記憶喪失で迷い込んでくることが稀にある』
この条件が音無であり、好きになった人にこの世界から去られたという状況も音無です。
しかも音無は頭いいですからねぇ・・・、普通に時間をかければプログラミングもマスターできそうです。
再びかなでがこの世界に来るまで待つとしたら・・・まさに「ANGEL PLAYER」のプログラマーと同じです。
あの世界では時間は永遠にありますし、そもそも時間の概念が通常と違うので、あの世界がなくならない限り、たとえ音無でなくてもいつか同じことが(天文学的な確率で)繰り返されるかもしれません。

ですが、そんな音無に救いがない結末はイヤだと思っている方々が安心できるエピローグが!

エンジェルビーツ13話 エピローグ
どこかの街のどこかの通り。
何かを待っているかのように建物の壁に身を預け、「My song」のメロディを鼻歌交じりに奏でる少女。

その少女の前を通り過ぎる青年。
ふとそのメロディが気になったのか振り返る。
エンジェルビーツ13話 音の奏でが結ぶ再会
名前も知らない、初めて聴く曲、だけど何か懐かしいような、とても大事な曲だったような・・・そう思ったのでしょう。
まるでそうしなくてはいけないかのように体が自然に動き、その少女のあとを追い・・・
エンジェルビーツ13話 END
奏でた音が結ぶ再会・・・という感じでしょうか (ノ-'*
答辞のときに言ったとおり、顔は忘れてしまっても、魂に刻みあった絆は忘れなかったんですね。
今この現実にいる友人や恋人、夫婦との出会いと付き合いは、ひょっとしたらこんな卒業を「あの世界」で一緒に向かえた者同士なのかもしれない・・・。
初めて見る顔、初めて聞く名前かもしれないけど、どこか特別に感じる・・・、それが「あの世界」で魂に刻みあった絆。
そんな仲間や大切な人との「再会」も待っているからこそ、人生はこうも素晴らしい・・・。
そう思えるようなエピローグでした。

13話単体の感想としては、正直に言えば、最初の1回目見たときは、こうゆう作品にはありがちな別れと再会な展開だと思ってしまいましたが、何度か見直して、上記のレビューのような今までのことを振り返ったり、キャラの心情が分かってくると、涙腺が緩んできますね^^;
レビューするために要所要所のセリフやシーンを何度も繰り返し再生してると、キャラの心情がどんどん分かってくるので、そのたびに「(´;д;`)ブワッ」ですよwww

全13話という短い作品なので、物語に深みがなさそうだと思ってました(まぁ実際、いろいろ端折られてるのでもっと深く掘り下げて欲しい欲求もあります^^;)が、何度も見直すと、端折られた部分を想像できますし、登場人物がどうゆう気持ちでいるかも分かってくるので、その短さも気にならないです。
1回見ただけでは分かりにくいのが短所と言えば短所ですが、逆に言えば見るほどに面白さが分かってくる作品でした。

総評としては、今更ですが今期・・・というかこのレビューブログを始めてからでは最高のTVアニメシリーズだと思いました。
Key作品初の(原作ゲーム等が無い)オリジナルアニメでしたからね。
相当期待感を持って見始めたので、期待を下回ったときの残念感が大きかったら凹むなぁ〜と思いました。
杞憂に終わってよかったです^^

麻枝氏自身は元々ゲームシナリオ等がメインだったこともあり、アニメの脚本は新たな挑戦って感じだったようなので、荒い部分もあったと思います(いろいろ端折ったりとかw)。
ですが、自分の中ではむしろよく13話に濃縮できたなぁと思いますね。
わずか13話の中にこうもジーンとくる話を何度も入れられるのはさすがだと思いました。

それに、原作小説や漫画の無い分、先が読めない展開はレビューのしがいがあったというものです^^
原作小説等があると、既に主人公の心情等は文章化されてしまっていることが多く、そうゆう内面的なところは解説する必要がほとんど無いですしね。(なので、この作品以外のレビューでは面白いカットやオススメシーンを取り上げるばかりで、キャラの心情等に関する解説はあまりしてないのが分かるかと;)
そのため、本来やりたかったことが出来るオリジナル作品の解説が楽しくてこんな長時間かけて長文となってしまいました。
次回からは自重します^^;

人の好みもありますので万人にオススメする作品ではないかもしれませんが、こうゆうストーリー重視の感動する作品は自分は大好きです。
ギャグも織り交ぜられていて、そのセンスとギャップもやはり良いです。
特に、このAngel Beats!エンジェルビーツ)は人生賛歌がテーマですので、そうゆう「人生感」の分かってくる高校生ぐらいから見るのがオススメですね。
よくあるじゃないですか、『子供のとき見たときはよく分からなかったけど、大人になって見直してみたらその「良さ」に気づけた』・・・とかw
そうゆうキャラの心情の深い感じや、読み取れると分かる感動とか、そうゆうアニメ作品がもっと出てくるといいですねぇ。
「泣きゲー」ならぬ「泣きアニメ」とかw

アニろぐも、毎週Angel Beats!エンジェルビーツ)放送直後はアクセス数が跳ね上がってましたので、改めてこの作品の関心度の高さを感じました。
願わくば、この書いた内容がAngel Beats!エンジェルビーツ)という作品の「良さ」を知る手助けになれればと思います。
長文にもかかわらず、ご一読、ありがとうございましたm(_ _)m
あっ、こう言わないとだめかw
「読んでくれて・・・ほんとうに・・・・・・ありがとう」

以下、Angel Beats!エンジェルビーツ)のブルーレイ一覧
ちなみに、最終の7巻にはTV未放映特別篇が収録されるようです。
なんのエピソードが収録されるんでしょうねぇ(゚∀゚人) ワクワク
できればゆりっぺが目覚めるまでの空白の3日間が見たいw
  

Keep The Beats!Keep The Beats!
アーティスト:Girls Dead Monster
販売元:SMD
発売日:2010-06-30
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